スメルハラスメントとは

スメルハラスメントとは

一般的には、ニオイにより周囲に不快を与えること。

「ハラスメント=嫌がらせ」と訳されているが、ニオイを発する当人には自覚症状が乏しい場合が多く、「嫌がらせ」という表現が適切でない場合も少なからず存在しています。

スメハラという概念が形成されたのは一説には、2005年に歯周病開発のパーフェクトぺリオ株式会社が行った2010年の調査結果で“回答者の90%以上が社内にニオイの気になる人がいる”と回答しており、この頃から一般的に普及したのではないかと言われています。

また、ニオイがする対象者に対して個人的な感覚で注意をするのも逆にハラスメント(人格侵害に触れる)という側面もあります。何かのニオイに対して「臭い」といっても訴えられることはないが、ことニオイの元である対象者についての対応には十分に注意が必要となることから注意が必要です。

“○○さんのニオイが気になって目の前の事に集中できない”“ニオイのせいで一緒にいるのが耐えられない”というような言葉は人を著しく傷付け、精神的に追い込む原因となり、パワハラや名誉棄損で訴えられる可能性を含んでいます。

人格を否定するような対応は職場内でも外でも許されません。

なぜ人格否定になるのかというと、ニオイは形のないもので受け取り方にも個人差があるからです。
人の悩みのほとんどは対人関係に起因しています。(他の人と自分を比較したときに生じる劣等感などが原因となることが多い)

対人関係においてニオイに関することは思った以上にセンシティブな問題であり、対応には細心の注意を払ってしかるべきということになります。周りの人の体臭や自分自身の体臭で悩む人は近年更に増加傾向にあり、また実際にはニオイがしていないにもかかわらず自分のニオイに悩む人が急増していることも特徴的です。これはデオドラント思考の強い現状が反映されたものと考えられます。

戦後の日本は、衣食住などの生理的欲求や、安全欲求を満たすことで精いっぱいであったのに対し、現在においてこの欲求が満たされていない人は圧倒的に少なくなりました。悩みの多くは欲求のレベルによって変化していきます。

次の階層である所属や承認欲求は社会的欲求であり、対人関係が大きく関与することとなるため、これらの欲求を満たすために、スメルマネジメントは重要な要素の一つと考えられます。

 

社会的欲求を満たすために、なぜスメルマネジメントが必要か

ある調査結果では、何か相手に対して不快なことがあると、相手に対する印象は54%低下し、身だしなみについて改善して欲しいこと、 1位 体臭67.4% 2位 口臭60.2%という結果が出ています。

ある企業1000人に調査した結果、ビジネスシーンにおいての体臭はみだしなみの印象に影響するかという問いに対しれ実に88.9%が影響すると回答。身体のニオイは個人の印象を左右する大きな要素と考えられ、社会的地位が高く仕事ができるビジネスパーソンほどスメルマネジメントを欠かさないことがわかりました。

嗅覚は理性より感情に強く訴えかけるため、このニオイを放置することで個人の印象管理、会社の生産性といった両面からかなり大きな損失となることが予測されます。

体から発するニオイは、当事者の健康状態管理といった面でも重要なシグナルとなり、人間関係の悪化だけが問題ではなく、本人が気付かなくても周りが気づくことで当事者の体調不良の早期発見、早期治療に結びつけることにも有効です。

その反面、90%が相手の体臭について指摘できないと回答しており、指摘することのハードルはかなり高いため、働きやすい環境整備のためには産業医や産業保健スタッフの協力を得るなどの工夫も必要となります。