職場でスメルハラスメントが発生した場合、大抵、被害者は本人に言えず人事部に相談に来ます。
そうなると人事部から加害者にどうやって伝えるか、が一番悩むところだと思います。ニオイの問題はとてもデリケートな問題。どう対応すればトラブルなく傷つけずに伝えられるでしょうか。
加害者本人は自分のニオイには気付いていない場合が多いので、伝えるときは細心の注意が必要です。例えば、言葉で伝えるのは難しいからと、何も言わず本人の周りに消臭剤や空気清浄機を置いたりするのは最もよくない方法です。
本人が気付かないならまだしも、逆に過剰に反応していやがらせと受け取られる可能性もあります。
まずは、社内にスメルハラスメントについての啓蒙活動をします。個人に向けて事実を伝える前に、会社全体での取り組みということにして外堀から埋めていきます。
では、啓蒙活動はどのようにすればいいでしょうか。
社長名で宣言をする
会社の取り組みとしてスメルハラスメント対策を行うことを社長名で宣言します。
印刷物を配るのでも、メールで知らせるでもいいと思いますが、全員に発信することが重要になります。
ポスターを作って貼る
清潔を心掛けること、服装についての注意、生活習慣のがについてなどわかりやすい標語と
イメージでポスターを作ります。そして社員の目につきやすい所に貼りましょう。
更衣室やトイレなどが全員が目にするのでいいと思います。何度も目にすることで
自然と社内に浸透していきます。
セミナーを開いて社員全員に受けさせる
スメルハラスメントという言葉ができてから、制汗剤のメーカーでセミナーをしているところもありますので、研修として全員に受けるよう伝えます。
もしそれが難しければ、契約している産業医に社員向けに講演してもらうのもいいと思います。
就業規則に項目を追加する
一番いいのは、就業規則に盛り込むことです。
スメルハラスメントが起きて加害者本人に伝えるとき、この問題はあなた個人の問題ではなく、会社の問題でもあるということをわかってもらえるからです。そして「会社の規則で決まっていることだから伝えています」という態度を取ることで、少なからず個人的なクレームというよりは公的な指導という受取り方になります。加害者を傷つけず、さらにわかってもらうためにはここはしっかり押さえておいた方がいいでしょう。
いかがでしょうか?
ずいぶん遠回りに感じるかもしれません。でも円滑に進めるためには重要なことです。労力は伴いますがあとあとやっておいて良かったと思えるでしょう。
この流れだけで問題が解決することはありませんが、まずは会社の中にスメルハラスメント対策をしていくという雰囲気を作ることが先決になります。
これで加害者本人が気付いて自分で気を付けるようになれば一番いいのですが、なかなかそうはいかないのが現状です。本人に告知するのはこのあとの段階になります。